立身流第二十二代宗家 加藤 紘 第一.はじめに 立身流での演武や稽古は、流祖神妻山大明神や、稽古相手への礼から始まります。 己が身を正しくするは行儀也 人の正しきことにしたかへ 第二.姿勢1.姿勢について自らの身を正しくする第一歩は姿勢です。これが武術の出発点でもあります。 我が体は曲がれるものと心得て 人の形に気をつけて志礼 十の字を我か身の曲尺と心得て竪も1なり横も一なり曲尺(かね)とは法則の意味です。身体は、どこからみても、竪に真直、横に真直でなければいけません。竪1横一です。その姿は、杉の木が天に向かって伸びていく姿にも例えられています。 思ひなく巧むことなくするすると身は若杉の立てる姿に 2.立姿(実演)力を抜き、身体の弾力性を保ち、足巾は狭くして何度か飛びはねた後の巾、足の重心は指の後ろ辺り、関節は突張らない程度に伸び、肱は体側に軽く接するか瞬時に接する事が出来るようにします(肱の逆をとられない)。手の指同士も同様です(同)。力を抜くのも、瞬時に変に応ずることができるようにするためです。 3.正座(実演)力を抜き、両腿を拳一つ分位あけ、親指は重なるか接します。手は力を抜いたまま、股上に持ってきます。肱、指は前同様です。肱を張ってはいけません。腕を組むのもいけません。立身流では腕を組むことを「腕あぐら」といいます。 第三.礼1.礼について礼は頭を下げるのではありません。腰を屈します。他は立った姿勢のままです。視線は顔の動きのままに動きます。 2.礼の動作ここで初めて動作に入ることになります。もう、武術動作の段階に入っています。動作で重要なのは、呼吸との一致です。息を吐きながら屈体し、一呼吸置き、息を吸いながら上体を戻します。また、一拳動の中での序・破・急(冴え)が重要です。その為には力を抜いて弾力性を持った身体を作る必要があります。 3.立礼(実演)力を入れない為、手が前方よりに下がりますので、そのまま軽く身体に寄せます。 4.坐り方(実演)上半身直立したまま、両膝を同時につき、いつ停まったかわからない程静かに腰をおろします。 5.坐礼(実演)腰が屈する時に身体につられて両手が前に出て床に着き、上体がほぼ水平になるようにします。礼のとき、視線が顔と共に動くのは同様です。 6.立ち方(実演)腰を上げ両膝をつくと同時に両足指を立てて活かし、上半身直立のまま立ち上ります。反動をつけてはいけません。膝が床につく時、足指が活きていることが、武術では必要です。 7.提刀、帯刀(実演)立っているとき、刀は右手で、肱を張らず、指に力を入れずに栗形の辺りを掌、指でくるむように提げます。下緒は三折りにして一緒に持ちます。 第四.構1.構について立身流では、正しい姿勢をとることがすなわち、基本の構です。身構は横も一なり竪も1 十の文字こそ曲尺合としれ 2.構の動作立身流俰目録第四十二条の「身構之事」では次のように説かれます(実演)。
3.刀術 中段の構(実演)立身流刀術の構は中段が基本です。居合でも剣術でも必ず最後に中段に戻します。上記身構之事をふまえ、その人の体格にもよりますが、左拳が身体の中央部に位置します。それに従い、身体全体も修正されます。 居合とは俰の上に居合あり 居合のうちに俰あるなり 第五.足蹈(実演)足の蹈み方には、大きくわけて、歩んだり走ったりする場合(方向転換を含む)と斬撃する場合とに分かれます。立姿から、眼に見えない程少々重心が前に移り、足がこれについてきて、歩み始めます。両足は成可く平行となります(甲冑を着用しているときはやや異なる)。また、無理に足を上げません。後の足の踵は歩むとき軽く浮きます。 足蹈は常の歩みの如くして おくれし足はかかと浮へよ身体の上下動、左右動、前後の揺れ、身体の捻じれ等がない自然の歩み、常の歩みをします。竪1横一を歩みや走りでも維持するのです。左への転回、右への転回、左回り後への転回、右回り後への転回、四方への転回等でも同様です。更に後進、左への後進、右への後進、左回り後進、右回り後進等でも同様です。 行水の淀まぬ程をみても猶 わが足蹈をおもいあはせよ居合や剣術は、この歩みあるいは走りの上に乗っています。 敵は波 我は浮きたる水鳥の 馴れてなれぬる足蹈をしれ 足蹈は大方物の始めにて いえの土台の曲尺と知るへし 第六.発声(実演)
通常の呼吸から始まり、次の段階を経ます。
第七.斬撃打突(実演、上段よりの斬、居合の円)竪1横一を崩さず、斬撃打突します。斬撃の後も体を崩しません。立身流では、身体の安定、大きく冴えのある動きを重視し、これが美しさを伴うことになります。大きな動き方が身につけば、同じ動き方を小さくすることもできますが、小さい動き方ができたからといって大きい動き方までできるものではありません。 参考 立身流歌 息合を水入筒と打ちかへて 腰に附希へきものにそありける 餘り身に過たる業を好ますに 進み退く事を覚えよ 本の身は行くも留るもひくは猶 心にまかせ叶ふ身としれ 平成24年5月6日改訂
平成23年11月12日掲載
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