立身流の技法

総合武術としての立身流

立身流が成立した室町・戦国時代は,戦う際に武器を選ぶ余裕のない状況でした.そのため手許にどのような武器があっても,あるいは無くとも身を守るためにさまざまな武器の形が伝承されています.

伝承されている形は

  • 俰(やわら)
  • 短刀
  • 小太刀
  • 太刀
  • 半棒
  • 薙刀
  • 鑓(やり)
  • 四寸鉄刀(しゅりけん)

その他,捕縄,(二十一通り,抵抗する相手を素早く一時的に縛る早縄と,無抵抗の相手をしっかり縛る本縄がある)等武技一般のほか,弓,馬,集団戦術の心得,物見,測量法,兵術,甲冑着具次第にまで及んでいます.

刀術を中心とした技術体系

立身流には正伝書が全十五巻あり,そのほとんどは主に刀術を中心として武術全般と心法について書かれています.これに加えて俰(やわら)目録之巻,俰(やわら) 極意之巻等があります.

つまり,刀術(居合・剣術)が中心とされ,次いで俰(やわら)が重要な位置を占め,他の武器はこれらの応用として位置づけられています.このように,立身流の表芸は刀術であるとされます.

刀術を構成する居合、剣術は「」「」の二つの形を基に組み立てられており、たとえば、九十六本ある居合の形は、この二つの形を方向、拍子、相手の数などに応じて変化させた形になっています。

したがって,立身流にはさまざまな武器の形がありますが,全て太刀技の「」「」の応用であると考えることもできます.

」「」は立身流の極意とされています。

虚飾を排した動作美

第21代宗家が著書である「立身流の形」の冒頭で

立身流の形の一大持微をなすものに、単純樸質性がある。即ち、時代が進むにつれて次第に複雑多用化して来る様々な要素形態を濃縮圧縮し、雑多を純一にして凝集させたもので、決してただの単純化でない。従って、単純樸質のうらに複雑絢爛にして深奥な内容が感受されるのである。(第21代宗家 加藤高)

と記しているとおり,立身流の形の特徴は単純素朴さにあると言うことが出来ます.

立身流独特の研究による技法も方々に見られます.

擁刀
抜刀時に刀を抱え込むようにし,腹と腕の力で抜刀します.これは右小手を防御できる姿勢であるとともに,抜刀時に力を籠めやすいので.鯉口が硬い刀であっても確実に抜刀することができます.熟練すると,「こより」などで刀を固定した状態からでも抜刀することができるようになります.
強打(斬り落とし)
刀を頭上で大きく旋回させ,遠心力と速度を得て振り下ろします.また旋回時に相手の打ち込みを受け流すこともできます.
左手で右腕ごと刀を握る強い姿勢で相手の打ち込みを受け流します.薙刀などの長柄物の一撃をも受け流すことができます.
普通,一の太刀の小手打ちは片手で行うことが多いのですが,立身流では両手で切り込みます.両手を使うことで更に力を込めることが可能になります.これは相手が鎧を着用していた場合を想定していると考えられます.
改訂:平成24年3月4日